Lunar Eclipse
「ねぇ、何あの子。顔見えてないじゃん」
「きもいし。陰キャまるだしぃ~」
「てかゴメンって何よ、謝る前に
お礼はどうした??」
「というよりさぁ、
さっきの男子かっこよくない?」
「ねっ、思った。あのこ誰?」
「同中の人いないの?」
「私も支えられたぁ~い」
「あんなイケメン殴るなんて、
あの子ほんと最低!!」
「前髪伸びすぎてさぁ、
前見えてないんじゃない?」
「きゃはははは」
あっという間に私の周りは女の子たちの
弾丸トークに包まれる。
私は早く抜け出したくて
小走りになって人の輪から抜けた。
女子ってすぐこうなる。
イケメンだからってひいきするけど、
別に顔が整っているだけで
人は人だよ。
顔が整ってるからって
信じられる保証なんてない。
人なんて、信じられない。
人なんて、嫌い。
自分自身も、大っきらい。
ありがとうって言えない私が嫌い。
人を信じられない私が嫌い。
笑えない私も、大大大嫌い。
過去から抜け出せない、
私が、
きらい。
本当はうらやましいよ、
自分の見たこと、感じたこと、
全部そのまま人に話せる皆が。
私には無理。
人に裏切られるのが、
こわいから。