Lunar Eclipse
2組の並ぶ場所についてしばらくして、
ようやく一人目のクラスメイトが来た。
髪の毛は茶髪っぽくて、やんわり
カールしている。
メイクはしてなさそうだが、
もともとの顔が濃いからか、
パッと人目を引きつける美人だ。
その子は私を一目見るなり、
声をかけてきた。
「おす」
「....」
もちろん私は無視。
しゃべりたくないし。
用がないなら返事する必要なんてない。
「なんでマスクつけてんの?
あっ、花粉症?
私、花粉症じゃないからその気持ち
わかんないわ~。
いやぁ、それにしても顔隠しすぎ
なんじゃない?せめて前髪をさぁ、
切るとかさぁ。あっ、もしかして
伸ばし中なのか?その気持ちは
わかるわ~。私も一回伸ばしたこと
あってぇ、あっ、小4の時の話なん
だけどさ、あれってじゃまなのに
一回伸ばし始めると止まらないん
だよねぇ~。でさ、......」
何この子。口が止まらない。
早送りしても5分はかかりそうな
話を、私はいつまで無視して
おけばいいのだろう。
見かけによらず、よくしゃべる子。
ほんと、しょーもないことばっか。