Lunar Eclipse

「んじゃ、もうやることねえから

 そろそろ解散するか」

東が耳の穴をいじりながら言う。

「明日は委員会とか決めるから、

 立候補するかどうか考えとけ。

 よし。じゃあ解散だ。起立!!」

ガタガタと椅子の音を立てながら

皆が立つのを確認する間もなく、

「気をつけ、礼!!さよならっっ」

と挨拶をすませる東。

テキトーだなぁ。

まぁ、話が長くなくていいけど。

とか、平和なこと考えていたら、

「松田クぅ~~ん!!」

変に女子っぽい声がドドドドドドっと

押し寄せてくる。

「ねぇ、LINEおしえて♡」

「わたしも!」

「わたしもいいかな??」

ターゲットは私の隣、松田輝だ。

やっぱりな。イケメンって大変だよ。

「あぁ、俺ケータイ持ってねぇんだわ」

そう言ってそそくさと退散しようとする

松田君。

「えぇ!ちょっと待ってよぉ」

と追いかけていく女子軍団。

教室に残った女子は私と、...。

黒木さんと浜崎さん。

2班。のみ。

2人は周りを気にもとめず、しゃべっている。

まぁしゃべっているのは

正確にいえば浜崎さんだけだけど。

「にしても輝よかったよなぁ、

 班員がこいつらで」

「な。イケメンなんて気にも留めない

 女子ばっかだもんな」

「隣はあんなだけど」

「いっちゃだめだろそれ!シィーーー」

はぁ。私のことね。

いいもん。気にしないし。

私は下を向きながら

こっそりと教室を出て行った。
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