Lunar Eclipse
ケータイや時計は没収されて、
林間学校が開始した。
私達は班で固まって山道を歩く。
今から約1時間かけて
ゴールまで行く予定だ。
多賀君と松田君が先頭を進み、
その後を私と渡部君、
そして後ろから黒木さんと浜崎さんが
歩くという形で私達は足を動かしていく。
渡部君は不思議な感じのする子で、
おとなしい。
この班の中では私のキャラに
一番近いんじゃないかな。
私は霊感とかないけど。
なんでも、渡部君には霊感があるらしい。
今も手を前にかざして
オーラを読み取るような(?)ポーズで
歩いているほどだ。
だから私たち二人は班の会話に加わらず、
多賀君&松田君と黒木さん&浜崎さんの
声が私達を飛び越すような
感じになっていた。
後と前でしゃべるなら、
私達が真ん中に入っている必要ないよね。
どう考えても邪魔だ。
でも、順番を入れ替えるのもめんどくさい。
そのためには何かしら
しゃべらなければならないし、
そうなれば私が今まで確立してきた
キャラは崩れてしまう。
だめだな。
誰かに何か言われるまで、
このままでいよう。