〈BL〉年上彼氏は体育教師
反対とお泊まりと喧嘩と相談
桂二さんに今度の連休に
泊まりに来ないかと言われた。
提案者は一葉ちゃんらしい。
お泊まりするのに桂二さんが
両親に挨拶に来るという。
そういうところは教師気質だと思った。
しかし、これが裏目に
出るとはこの時は知る由もなかった。
どれがいけなかったのだろう?
桂二さんが〈教師〉だからか、
それとも、〈年上で同性〉だから?
恋愛をするのにどれも関係ないと思う。
〈教師〉と〈生徒〉というのは
まぁ、多少問題ありだが
そんなものは障害ではない。
バレなければいいわけだし、
知っているのは晄さんだけ。
僕達が自ら話さなければいい話だ。
それに、僕が卒業してしまえば
それこそ問題がなくなる。
『反対する理由は?』
普段、僕は滅多にキレない。
『未央、落ち着け』
今は桂二さんに止められても無理だ。
肩に乗っている桂二さんの手を
やんわりと退かした。
『僕らが教師と生徒だから?
それとも、同性だから?』
後者なら間違いなくマジギレする。
「私達だって、あなたが
年上でも年下でも例え先生でも
“女の人”を連れて来たならよかったのよ?」
やっぱり後者か……
それを偏見って言うんだよ‼
ふざけんじゃねぇよ。
久々にキレた僕は父親を殴った。
『相手が “女の人”だったらよかった?』
晄さんだって、僕らと同じだ。
【“女の人”だったらよかった】
そう言われた時に、晄さんの恋も
否定されたと思った。
桂二さんは口を挟まない。
「あぁ、そうだ」
立ち上がりながら父親が言った。
「昔は女の子を
連れて来ていたじゃないか」
そりゃぁ、僕だって
彼女がいたこともあった。
桂二さんだって、バツイチだし
根っから同性が好きだったわけじゃない。
だけど、僕らはお互いを好きになった。
性別なんて関係なく
惹かれるものがあった。
『確かに、彼女がいたこともあったし、
彼以外の同性にはドキドキしないけど
僕は彼を好きになった』
もしかしたら、
僕はバイなのかも知れない。
今はそんなことはどうでもいいが……
『母さんはそれを言って
僕が伯父さんみたいに
出て行くとは思わなかったんだ?』
十一年前、僕が小学校二年の時に
結凪伯父さんは同性の恋人の夏楓さんと
居るために家を出て行った。
僕の言葉で母さんは顔を青ざめさせた。
それはそうだろ。
父さんにすら話しなかったんだから。
『伯父さんは今頃、夏楓さんと
幸せに暮らしているだろうね』
この三ヶ月後、伯父さんと
会えるとは思っていなかった。
*゜*゜*゜*゜ *゜*゜*゜*゜ *゜*゜*゜
結果的に母さんは認めた。
十一年前を思い出して
「認めるから出ていかないで」
と言って折れた。
父親は納得しない顔を
していたが母さん同様、
僕が居なくなるよりはと思ったのだろう。
三泊四日のお泊まりが決まった。
桂二さん家では一葉ちゃんと
一緒に料理をした。
僕達は仲良しだ。
『一葉ちゃんは何で
桂二さんについてきたの?』
妹の芙深ちゃんは
母親について行った。
「こんな事言ったら、
バチがあたるかもしれないけど
私はお母さんが嫌いなの」
娘が母親を嫌いになる理由はなんだろ?
この場合は【浮気】だろうか?
『そっか、でも、芙深ちゃんと
離ればなれで寂しくない?』
妹の事はどう思ってるのか……
「お父さんには内緒よ?
はっきり言って、あの子苦手なの」
苦笑いしながら話してくれた。
「なんていうか、
目がお母さんそっくりで……」
一方の芙深ちゃんはどうなんだろう?
と思うが話す機会はないから
解らないままだ。
「未央さんは何で
お父さんを好きになったの」
一目惚れに近かったから
理由を訊かれると答えに困る。
『気付いたら好きになってた感じ』
桂二さんが既婚者でも
この気持ちを払拭させられなかった。
「そうなんですか……」
もしかして、一葉ちゃんは
好きな人がいるのかな?
『好きな人がいるの?』
訊いてみると一葉ちゃんは
顔を真っ赤にして俯いた。
これは図星だ。
『僕でよかったら相談に乗るよ?』
俯いてしまった
一葉ちゃんの顔を
下から覗き込んでみた。
「ほ、本当ですか?」
幾ら仲がいいとはいえ、
父親である桂二さんには
恋愛相談はできないだろう。
『うん、何でも相談して』
僕がそう言うと顔を上げてくれた。
「実は、未央さんと一緒で
学校の先生が好きなんです」
落ち着きを取り戻した一葉ちゃんは
キッチンに置いてある椅子に座り、
僕にもう一つの椅子を
勧めてくれたからそれに座った。
『どんな人なの?』
一葉ちゃんは三年になってから
好きになったらしい。
きっかけは階段から落ちそうに
なった際に助けてくれて
それからは廊下で会うと声を
かけてくれるようになり、
気付いたら好きなっていたらしい。
若くて、優しくて、イケメンとくれば
女子中学生は大騒ぎだろうなぁ。
「もうすぐ卒業ですし、
このまま伝えずにいようかとも
思っているんですけど、
踏ん切りが付かないんです……」
恋をしている女の子は可愛い。
『無責任なことは言えないけど
一葉ちゃんが卒業後に後悔しない
選択をすればいいと僕は思う。』
僕達は結果的に
たまたま両思いだった。
だけど、最初は既婚者だった
桂二さんに告白するつもりはなかった。
だけど、色んなことが
重なって“結果”告白し、
告白されて恋人同士になった。
僕達は運がよかった。
「未央さんは今、幸せですか?」
勿論、幸せだ。
桂二さんと一葉ちゃんが
居てくれるから。
『うん。
二人が居てくれるからね』
それに、渋々とはいえ
父さんと母さんも認めてくれたし。
「私、決めました‼
先生に告白してみます」
『応援してるからね』
話しが纏まり料理を開始した。
泊まりに来ないかと言われた。
提案者は一葉ちゃんらしい。
お泊まりするのに桂二さんが
両親に挨拶に来るという。
そういうところは教師気質だと思った。
しかし、これが裏目に
出るとはこの時は知る由もなかった。
どれがいけなかったのだろう?
桂二さんが〈教師〉だからか、
それとも、〈年上で同性〉だから?
恋愛をするのにどれも関係ないと思う。
〈教師〉と〈生徒〉というのは
まぁ、多少問題ありだが
そんなものは障害ではない。
バレなければいいわけだし、
知っているのは晄さんだけ。
僕達が自ら話さなければいい話だ。
それに、僕が卒業してしまえば
それこそ問題がなくなる。
『反対する理由は?』
普段、僕は滅多にキレない。
『未央、落ち着け』
今は桂二さんに止められても無理だ。
肩に乗っている桂二さんの手を
やんわりと退かした。
『僕らが教師と生徒だから?
それとも、同性だから?』
後者なら間違いなくマジギレする。
「私達だって、あなたが
年上でも年下でも例え先生でも
“女の人”を連れて来たならよかったのよ?」
やっぱり後者か……
それを偏見って言うんだよ‼
ふざけんじゃねぇよ。
久々にキレた僕は父親を殴った。
『相手が “女の人”だったらよかった?』
晄さんだって、僕らと同じだ。
【“女の人”だったらよかった】
そう言われた時に、晄さんの恋も
否定されたと思った。
桂二さんは口を挟まない。
「あぁ、そうだ」
立ち上がりながら父親が言った。
「昔は女の子を
連れて来ていたじゃないか」
そりゃぁ、僕だって
彼女がいたこともあった。
桂二さんだって、バツイチだし
根っから同性が好きだったわけじゃない。
だけど、僕らはお互いを好きになった。
性別なんて関係なく
惹かれるものがあった。
『確かに、彼女がいたこともあったし、
彼以外の同性にはドキドキしないけど
僕は彼を好きになった』
もしかしたら、
僕はバイなのかも知れない。
今はそんなことはどうでもいいが……
『母さんはそれを言って
僕が伯父さんみたいに
出て行くとは思わなかったんだ?』
十一年前、僕が小学校二年の時に
結凪伯父さんは同性の恋人の夏楓さんと
居るために家を出て行った。
僕の言葉で母さんは顔を青ざめさせた。
それはそうだろ。
父さんにすら話しなかったんだから。
『伯父さんは今頃、夏楓さんと
幸せに暮らしているだろうね』
この三ヶ月後、伯父さんと
会えるとは思っていなかった。
*゜*゜*゜*゜ *゜*゜*゜*゜ *゜*゜*゜
結果的に母さんは認めた。
十一年前を思い出して
「認めるから出ていかないで」
と言って折れた。
父親は納得しない顔を
していたが母さん同様、
僕が居なくなるよりはと思ったのだろう。
三泊四日のお泊まりが決まった。
桂二さん家では一葉ちゃんと
一緒に料理をした。
僕達は仲良しだ。
『一葉ちゃんは何で
桂二さんについてきたの?』
妹の芙深ちゃんは
母親について行った。
「こんな事言ったら、
バチがあたるかもしれないけど
私はお母さんが嫌いなの」
娘が母親を嫌いになる理由はなんだろ?
この場合は【浮気】だろうか?
『そっか、でも、芙深ちゃんと
離ればなれで寂しくない?』
妹の事はどう思ってるのか……
「お父さんには内緒よ?
はっきり言って、あの子苦手なの」
苦笑いしながら話してくれた。
「なんていうか、
目がお母さんそっくりで……」
一方の芙深ちゃんはどうなんだろう?
と思うが話す機会はないから
解らないままだ。
「未央さんは何で
お父さんを好きになったの」
一目惚れに近かったから
理由を訊かれると答えに困る。
『気付いたら好きになってた感じ』
桂二さんが既婚者でも
この気持ちを払拭させられなかった。
「そうなんですか……」
もしかして、一葉ちゃんは
好きな人がいるのかな?
『好きな人がいるの?』
訊いてみると一葉ちゃんは
顔を真っ赤にして俯いた。
これは図星だ。
『僕でよかったら相談に乗るよ?』
俯いてしまった
一葉ちゃんの顔を
下から覗き込んでみた。
「ほ、本当ですか?」
幾ら仲がいいとはいえ、
父親である桂二さんには
恋愛相談はできないだろう。
『うん、何でも相談して』
僕がそう言うと顔を上げてくれた。
「実は、未央さんと一緒で
学校の先生が好きなんです」
落ち着きを取り戻した一葉ちゃんは
キッチンに置いてある椅子に座り、
僕にもう一つの椅子を
勧めてくれたからそれに座った。
『どんな人なの?』
一葉ちゃんは三年になってから
好きになったらしい。
きっかけは階段から落ちそうに
なった際に助けてくれて
それからは廊下で会うと声を
かけてくれるようになり、
気付いたら好きなっていたらしい。
若くて、優しくて、イケメンとくれば
女子中学生は大騒ぎだろうなぁ。
「もうすぐ卒業ですし、
このまま伝えずにいようかとも
思っているんですけど、
踏ん切りが付かないんです……」
恋をしている女の子は可愛い。
『無責任なことは言えないけど
一葉ちゃんが卒業後に後悔しない
選択をすればいいと僕は思う。』
僕達は結果的に
たまたま両思いだった。
だけど、最初は既婚者だった
桂二さんに告白するつもりはなかった。
だけど、色んなことが
重なって“結果”告白し、
告白されて恋人同士になった。
僕達は運がよかった。
「未央さんは今、幸せですか?」
勿論、幸せだ。
桂二さんと一葉ちゃんが
居てくれるから。
『うん。
二人が居てくれるからね』
それに、渋々とはいえ
父さんと母さんも認めてくれたし。
「私、決めました‼
先生に告白してみます」
『応援してるからね』
話しが纏まり料理を開始した。