天使が私に落ちてくる


ぐるりと回りを見回すと、木の影にくるくるした巻き毛が見えた。


どこかで、見たことがある。


そう思ったら、体が動いていた。





「なに、してんの」


木の影には、目に涙をいっぱいためた天使がいた。あたしが行くと、そのうるうるした目で『助けて』って言ってきた。


「その子、どうするのおばちゃん」


天使の手を力いっぱい引っ張っているのは、ママなんかよりも年上のおばちゃんだった。

一生懸命引っ張っても、天使が動こうとしないので、怒っている怖い顔をしていた。


「嫌がってるんだから、放してあげなよ! 」

「そんなことないわよね? これから美味しいおやつを食べに行くのよ」


本当かと天使を見ると、ふるふると頭を振った。
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