天使が私に落ちてくる
「やめなよ! 怖がってるんだから、行かないよ! 」
あたしの言葉に天使は、こくこくと頷いた。
「それなら、あなたも来ればいいわ。生クリームと苺がいっぱいのケーキよ? 」
残念ながら、あたしはショートケーキはあんまり好きじゃない。フルーツが乗っているなら、いろんなフルーツの乗ったタルトのほうが好きだ。
自分が好きなものを、他の人も好きだなんて思い込みが激しい。
「………帰ろう」
あたしが天使の手を取ると、うるっとした目でこくんと頷いた。たちまち涙がこぼれてしまったのを、ピンクのうさちゃんのハンカチでふいてあげる。
「泣かせるなんて酷い子ね。お姉ちゃんと来ればおもちゃも買ってあげる」
今度はおもちゃで釣ろうなんて! 泣かせたのはあんただよ! あんなに泣かないように頑張ってたのがわかんないの?