天使が私に落ちてくる
「………ゆいかちゃん!! 」
なんでこうもタイミングが悪いんだろう。
見た目は天使なのに。
天使だったら、タイミングばっちりで出てきそうなものなのに。
「なあに? 」
仕方なくフォークと、それに刺さったチーズケーキをお皿に戻す。
「……あのね……」
そう言ったまま、天使はもじもじと服の裾をつまんでこちらを見ようともしない。
はーやーくー
チーズケーキは逃げないけれど、確実に風味は落ちる。そして口のなかにつばが溜まる。口をつぐんでいないと、よだれが垂れそう。
「あのね、助けてくれてありがとう。ゆいかちゃんに助けてもらえて、すごく嬉しかった」
もじもじとお礼を言う天使は、とても可愛いらしかった。それを言わせた自分を誉めてやりたい。
「ゆいかちゃん、すごくカツコよかった。超特急マンみたいだった!! 」
キラキラと瞳を輝かせて、頬はバラ色でそれはそれは天使だった。
ただ内容が残念。
特急マン……日曜日の、朝のアレだ。
あたし、ソレ?
憧れの眼差しを向けられるのは嬉しいけれど、女子としては残念な感じだ。