天使が私に落ちてくる
「そんなに嫌だったの? 」
そう言ったら、こくんと頷いたので大きな涙の粒がぼたぼた落ちた。
そろそろとうさちゃんハンカチを取り出して、涙を拭ってあげる。感情が激しく揺れているので、いつ手をはたき落とされるかと心配していたけれど、あたしが拭うにまかせてふかせてくれる。
「……ゆいかちゃん」
大きな目を涙でいっぱいにした天使はそれでも可愛いらしかった。
………涙が武器になるなんてズルいよなぁ
「……お願い、目閉じて……」
ここで機嫌を損ねてはいけないので、素直に目を閉じる。
すぐに柔らかなものが唇について、すぐに離れた。唇の端からしょっぱい物が口の中に入ってきて、びっくりして目を開けるとあたしを見ている天使と目が合う。