天使が私に落ちてくる
考えこむあたしの手をつかんで天使は極上の笑みを浮かべる。
「超特急マンは、ハンバーグが大好きなんだって。僕といっしょなんだよ。僕もハンバーグをいっぱい食べたら超特急マンみたいになれるかな? 」
「……そうだね」
「ゆいかちゃんは何が好き? 」
「お菓子。アイスクリームも大好き」
うちのママの料理は美味しいけれど、お菓子はあんまり作ってくれない。手間がかかって大変なんだって。
「また僕のうちに来たら、たくさん食べさせてあげるね。ママはお菓子を作るのが好きなんだよ。でも甘いものばっかりだから僕もパパもすぐあきちゃうんだ」
天使は自分の小指を出すと、あたしの小指にかってにからめてきて約束、といった。
「超特急マン遊びしようよ」
「やだ。お姫さまごっこがいい」
「じゃあね、お姫さまを超特急マンが助けるのがいいよ! 」
これで解決とばかりに天使が微笑む。
お姫さまがお城にいるとは限らない。だけど怪獣や日曜の特撮ヒーローといるとも限らない。
でもまあ……天使のご機嫌がなおって笑ってくれたから、それはそれでいいとしよう。