天使が私に落ちてくる
「痛い、痛いよ」
「あたしだってこんなことしたくないですよ。でも先に手を出したのはそっちでしょう? 警察行きましょうか。ここで大声だしたら、誰か大人が来てくれますからね。そこのコンビニ、子供110番の家なんですよ。誘拐とか痴漢とか困ったことをする大人から助けてくれる人がいるはずです」
「やめてくれ、謝る、謝るから」
「謝るだけじゃすみませんよ。今後いっさいあたし達に関わらないでください」
念を押すように捻る手に力を加える。
「わ…わかったから、早く放してくれ! 」
手を離すのに勢いをつけると、オタク(仮定)は前のめりに倒れた。恐怖に引きつった顔で慌ててこちらに向き直り、ずるずるとお尻で後ろに下がっていった。
「いこう」
「……うん」
あたしが先に立って歩き出すと、後から天使が追ってくる。