天使が私に落ちてくる


「……どうして結香ちゃんはあんなことが出来るの? 」

天使を見るとぷるぷる震えながらも、一所懸命に口を動かしていた。


「You Tube 見たからね。超特急マンみたいでしょ?」

「……だって怖いし、危ないよ」


辛そうな顔をした天使は、赤い唇を噛み締める。そんなに噛んだら、唇が切れてしまいそうだ。


「結香ちゃんが怪我したり、危ないことに巻き込まれたりしたらイヤなんだよ」


頭を振るので、ふわふわの髪がキラキラと輝いて光をはじく。ホント、無駄にカワイイよなぁ。

誘拐未遂やら痴漢の絶えない人なのに、そんなことを言っていたら、やっていけないだろうに。


自分を守ることも出来ないのなら、天使を守ることも出来ない。


たからあたしからしたら、ごく自然なことだったというのに。
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