天使が私に落ちてくる


ちょっと傷ついた。


なんだか人の痛みのわからない人みたいで。それで自分は守られる立場じゃないってことが、あらためてよくわかった。



「送っていくから、帰ろっか」


にかっと笑って、きょーそーと言って先にダッシュする。

驚いた天使が、一瞬遅れでスタートを切る。


「……送ってないよ。僕、おいかけてるよ」

「いーのー」


丘の上の天使のお家には、優しくって綺麗でお料理上手なママが待ってる。


イヤな自分の感情を置き去りにしたくて、ランドセルを揺らして走った。追いかけてくる天使と並びたくなくて、必死に走ると汗が目に入ってくる。


それでもどうしても信号で止まらなくてはいけなくて、荒い息を吐いて歩道に立ち止まる。
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