天使が私に落ちてくる
半歩先を行く天使に引かれるように、手をつないで歩く。
「結香ちゃん、僕も強くなるね」
そう言って振り返った天使は、それはそれは綺麗でそれでいて凛々しくもあって、今までみたことがないほど少年らしかった。
あたしは必死にまつげにつく雫を払ってうなずいた。
あたしはちっとも強くなんかない。
それに天使みたいに可愛くもないし、見栄っ張りだ。だから本当に心が綺麗な天使といると落ち込んだりする。
それでもこうして天使がお家に呼んでくれたりすると、あたしはあたしでいいのかと勘違いするほど安心する。
それがどうしてそうなのか、どうして天使にだけそう思うのかその頃のあたしにはわからなかった。