天使が私に落ちてくる


「あなたが何かしたなら、許さないところよ」

「いつもみたいに帰り道で、危ない人に会っただけだよ。結香ちゃんは助けてくれて……でも自分もすごく傷ついちゃったんだ」


天使ママはひとり息子にはなかなか厳しいらしい。


「ママ、結香ちゃんに苺ムースを出してあげて」


そうっと離したてのひらが、背中を押して天使ママへと送られる。


「結香ちゃんの大好物だから作ったのに、司はエスコートが下手ね。いつまでも結香ちゃんに甘えていてはダメよ」

「……わかってる荷物置いてくるね」


離れてしまった天使に心細くなるのは、自分がボロボロだからだ。こすりすぎて目元が痛いし、ほっぺたも赤くなっているはずだ。


恥ずかしくて消えてしまいたい。


「ごめんなさいね。司が迷惑をかけて」
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