天使が私に落ちてくる
「それでは海堂君のキスのお相手は、彼女しか考えられないということですね? 」
「もちろんです」
またまわりからキャーキャー悲鳴があがる。
「それでは皆様お待ちかねキスのお時間です!」
どうしよう!
そういえばキスのことは考えていなかった。頭のいい天使なら、何か考えていてくれそうで。
ちらりと天使をうかがうと、男子なのにぷるぷるの唇が目に入った。
天使がキスの紙を持ってきたってことは、天使からキスするってこと?
にこにこと嬉しそうな天使が、あたしに屈み込んで「結香ちゃん、初めてじゃないからね」そうささやいた。
初めてじや、ない?
ということは、これはお芝居だからノーカウントだよってことだよね。
そうかーそういうこともあるかもね!
あとは緊張せずに天使の前に立っていられたらいいんだもの。うん大丈夫だ。なんとかなりそう。