オフィスの恋愛事情
「もう一度、チャンスがほしい」



碧君の顔が、近づいてくる。さっぱりとした、柑橘系の香りがした。




テーベル越しに、手をつかまれていて、上手く、避けられない。




そのまま、碧君は、私の唇を奪った。




その瞬間、顔をそらせようとしたけれど、碧君は私の頭をしっかり固定していて、びくともしない。




碧君の唇は、温かくて、やわらかくて、身体中が熱くなってくる。




ようやく唇を離されたときには、私は、身動きできずに、固まっていた。




私の手を取って離さないまま、会計を済ませて、碧君と私は、外に出た。



吐息が、熱い。頭が働かないのは、恋のせいだ。




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