オフィスの恋愛事情
「みなお」



いつもの、首をかしげながら、碧君は私の目を覗き込んだ。



「こ、これ、凄く美味しい。いつも売り切れてるから、食べたかったんだ。ありがとう」



碧君のペースに巻き込まれないように、目を逸らしながら、私は喋った。



「この間は、ごめんね、なんか、怖がらせちゃった?」




碧君は、優しく私の肩を抱いた。




「怖くは無かったよ、怖くなかったけど、自分が、Mなんだって、知らなかったから、凄く、びっくりした」



それを聞いて、碧君は、笑い出した。




「笑い事じゃないったら。私、凄く困ってるんだよ。悠斗に悪いと思うと、お昼も食べれなかったんだから」
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