オフィスの恋愛事情
「ははは、なんだか、プロポーズみたい」




「んー、プロポーズじゃないけど、プロポーズの、予告って感じ?」




舌足らずな口調で、悠斗は答えた。




「予告があるってことは、本編もあるの?」





「それは、それは、予告が、好評だったら、あるでしょう」




「ふふふ、悠斗がやることは、何でも好評だよ。でも、ゆっくりでいいからね」




悠斗の腕のなかで、私は、目を閉じた。




「悠斗、いいにおいがする」




「え、ほんと。何か、嬉しい」



子供みたいなんだから、単純で。




「悠斗は、本当に、かわいいよね」




「えー、かっこいいじゃないの?」





「かっこいいのに、かわいいから、萌えるんだよ」




そう言って、私は悠斗の手の甲にキスした。悠斗の手は、ちょっと、骨ばっていて、すべすべしている。
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