オフィスの恋愛事情
「今回の件は、山田さんに色々迷惑をかけてしまって、ごめんね、これからは気をつけるから」
一通りの説明とお願いが済んでから、神宮寺さんは言った。
こんなに優しい声で、でも自信にあふれた態度ができるなんて、この人は凄い。
にこっとされて、これ以上話すこともないので、解散となった。
と、そこで神宮寺さんは私を呼び止めた。
「山田さん」
「はい?」
振り向いた私に、神宮寺さんは駆け寄った。
「今日のお詫びに、良かったら、夕食おごらせてもらってもいいかな?」
「え、そんな必要ないですよ、仕事ですから」
私はクールに聞き流した。
ちょっと困り顔の神宮寺さんは、いつもよりも若く見えた。