オフィスの恋愛事情
久しぶりのデートのせいなのか、やけに疲労感があった。うちの会社は経費削減の一環で、残業を嫌がるから、事務職の私はいつも定時で帰ってるしな。



駅から、自宅までは5分程、幸い開けてるので、人通りもあるし、夜道でも明るいから、痴漢とかの心配は、あまりない。



ぼんやりと歩きながら、星をみた。明るいから、そこまで見えないけど、それでも、綺麗な北斗七星が識別できる。


私は星を見るのが、好きなのだ。



アパートの入り口のセキュリティードアまで着いたとき、声をかけられた。



「みなお」



やたらとでかい声で呼ばれた。




相手はもちろん碧君だと、すぐ分かる。



振り向いた私に、碧君はゆっくり近寄ってきた。



「差し入れ」



差し出されたのは、ケーキの箱。



「この間の朝食の、お礼」



碧くんは、ぶっきらぼうに言った。
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