オフィスの恋愛事情
「これでも、結構必死にくどいてるんだけどな」



碧君は苦笑した。



「分かってるよ」




私は、笑顔を返した。




「でも、今日は、帰って。ちょっと、夜遅いから」




「そうだね」



碧君は、寂しそうに言った。




「週末、何してるの、碧くん」




「あー、動物園、みなおと」




「じゃあ、私は、碧君と、動物園」



碧君は、私の両手を自分の両手と繋いで、満面の笑みを浮かべた。



それから、おやすみ、っと言った。



私も、碧君に、おやすみと言ってから、アパートのセキュリティードアの向こうに行った。




なんだか、夢のような時間だった。
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