オフィスの恋愛事情
でも、私は無言で、碧君の言葉を待つばかりで。



碧君は、ゆっくりと立ち上がった。



電車のドアが開いて、さよなら、と私に言った。



それから、また月曜日に会社でね、と手を振って、電車を降りた。



その後姿を見ていたら、涙がにじんできた。



なんでかな。私、なんか、ひどく失敗してしまった気分。



さっきまで、碧君は私の隣にいたのに。




今は、私の隣は、丁度一人分、空いていた。
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