オフィスの恋愛事情
そんなことを、ぼんやりした頭で考えた。



「あーもー、みなおちゃん、かわいい」



突然抱きつかれて、ほっぺたにキスされた。



「みどりんもかわいーよ」



いつもなら、抵抗あるくさい台詞が、自然とすらすら出てくる。ああ、酔っ払うって楽しい。



「ねーえ、今夜、みなおちゃんのベッドで寝てもいい?なんか、眠くなっちゃった」




「いいよー、でも、襲っちゃだめよ」




「何もしないってば」



会話を盗み聞きしていたタクシーのおじさんが苦笑いしているのが、ミラー越しに見えた。



気が付いたら、大路くんの手は、私の手に絡まって、恋人繋ぎになっている。







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