オフィスの恋愛事情
「みどりんの手、あったかーい」
上目遣いで大路君を見つめると、なんだか、凄くやわらかい、マシュマロのような唇が降ってきた。
大路碧の唇って、厚くて、でもやわらかーい。
おばさんくさい感想を、心のなかで、つぶやいた。
大路碧のほうは、キスですっかり目が覚めてしまったようで、熱いキスを、角度を変えて、何度も交わした。
やっぱり男の子なんだぁ。こんな顔してても。
馬鹿みたいなことを考えているうちに、私の胸がきゅーっと熱くなり始めた。
繋がれた手と手が、唇の熱と共に、欲望を、お互いに伝える。
ようやく唇を開放されてから、大路くんを見ると、獲物を漁る、男の目をしていた。