オフィスの恋愛事情

「こうやって、一緒に飲むの、ひさしぶりだね、みなお」




まったりとゆっくりとしたペースで飲み続ける碧君に、私は言った。





「私ね、碧君とは、また普通の同期に戻りたいの。今の変な空気、嫌だし、皆で同期会で会えなくなるのも、困るし」





「俺は、みなおのこと、大嫌いだったよ、ずっと。その頃に、戻りたいの？」



言葉に詰まった。確かに、私も碧君のことは、苦手だったけど、大嫌いと言われると、さすがに堪える。




「じゃあ、どうして、私とキスしたの？」



素朴な疑問だった。




「わからない」




「なにそれ？」




「みなおの、酔っ払って赤くなったほっぺたを見てたら、凄く、キスしたくなった。いつもは、抜けてるくせに、偉そうなとこが、気にいらなくて、嫌いだったはずなのに、あの夜は、みなお、凄く可愛かった」