オフィスの恋愛事情
「でもね、碧君」



「なに?」



「やっぱり私たち、縁がなかったんだよ。上手くいくときは、スムーズにいくものなんだよ」




悟ったように言った私に、碧君は首を振った。




「勝手に決めないで、みなお」




碧君はテーブルの上にあった私の手を不意に、握った。



「いやだ。このまま終わるの、いやだから」




「そんなこと言ったって、私を振ったのは、碧君じゃない。他の人に取られたものだから、惜しくなっただけだよ。私のこと、好きなわけじゃないよ」



碧君の手を、振り払った。



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