PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「秘密に、しておいてください」
そこで夢が途切れた。
目覚まし時計が騒いでいる。
「夢、だよね……」
走った後のように鼓動が速い。
全身に汗。鳥肌が立っている。
イヤな夢だった。赤い色がなまなましくて。
夢の中で倒れていた人たちは誰だったんだろう?
顔はちゃんと見た。
でも、血の色があまりにも強烈で、それ以外のイメージがかすんでいく。
「ただの夢よ。忘れよう」
わたしは、騒ぎっぱなしの目覚まし時計に触れた。
レトロなアラームが黙り込む。
ベッドから起き出して、勉強机へ。
三日月ストラップを付けたケータイを拾い上げる。
スマホじゃなくて、カパッと開くタイプの古いケータイだ。
四月十五日、午前六時四十分。
新着メールが一通。
送信者は、小柳寧々《こやなぎ・ねね》ちゃん。