PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「ライヴ、始めるぞ」
「行ってらっしゃいませ、鈴蘭お嬢さま」
「行ってきます」
門衛さん二人に挨拶をして、門を出た。
その途端、足が止まる。
「えっ、あ、煥《あきら》先輩?」
どこからともなく煥先輩が現れた。
門衛さんたちの間に緊張が走る。
煥先輩は、そっぽを向いたまま一言。
「迎えに来た」
門衛さんたちが殺気立った。
うわ、最悪。
安豊寺家は男女交際に厳しいのです。
よりにもよって、見るからに不良少年の煥先輩が「迎えに来た」だなんて。
わたしは声をひそめて門衛さんたちに説明した。
「あの人は生徒会長の弟さんなの。最近少し物騒だから、パトロール的な感じで」
「お嬢さまの交際相手ではないのですね?」
「違う違う、全然違うから」