PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
煥先輩がまじまじと順一先輩を見た。
順一先輩の笑いが苦笑いになる。
「おれの顔、わかんないのか? 去年から同じクラスだろうが。尾張順一だよ」
「ああ、あんたか」
「ほんっとにマイペースだな」
弟のほうの尾張くんが、煥先輩にまとわりついた。
「煥先輩、おれら、瑪都流に入りたいっす! 前は烈花《れっか》のメンバーだったんすけど、解体したじゃないすか。緋炎《ひえん》が今、烈花の残党狩りやってて、ヤバいんすよ」
煥先輩は気だるそうに言った。
「話は聞いてる。が、オレに相談されても仕方ない。兄貴に話せ。今日の放課後、ストリートで歌う。そんときに来い」