PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
雄先輩も、軽音部室で使っているシンセサイザーではなくて、もっと簡略なキーボードをセッティングしている。
「ストリートも楽しいけど、演奏の条件が制約されるんだよね。たまにはライヴハウスでやりたいな」
雄先輩はそう言って肩をすくめた。
文徳先輩がギターの調音していた。
指の動きがすごく速い。
文徳先輩はわたしを見付けて、ニッコリした。
「おかげさまでギターが弾けるよ。昨日は本当にありがとう」
「お役に立てて、本当に嬉しいです」
文徳先輩の前にもスタンドマイクがある。
コーラスとMCのためのマイクなんだって。
真ん中のマイクで歌うヴォーカルの煥先輩は、今はまだ隅のベンチでじっとしている。