PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
文徳先輩はマイク越しに、聴衆に呼びかけた。
「皆さん、こんばんは! 瑪都流です! ストリートライヴに足を止めてくれてありがとう。
四月に入っても、夜はまだ冷えるね。寒かったら、音に合わせて体を動かしてください」
文徳先輩は制服のズボンと、上はTシャツにパーカーを羽織っている。
煥先輩たちも同じコーディネートだ。
亜美先輩だけは上から下まで私服。
ボーイッシュなスタイルでベースを構えるのがカッコよくて、寧々ちゃんは目をキラキラさせている。
「亜美先輩、やっぱイケメン! サイコー!」
煥先輩がフロントマイクの前に立った。
うつむきがちで、表情が見えない。