PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
クリスタルの結晶のような声だと思っていた。
透き通っている。
尖っている。
硬く、きらめいている。
歌うと、それだけじゃない。
しなやかな体温。のびやかな吐息。
壊れやすそうに優しい響きだ。
乱暴に扱ったら、張り裂けてしまいそう。
でも、強く輝く芯が、確かに通っている。
この人は、語りたい何かを持っている。
それを声に載せている。
耳が拾う言葉、おなかに響くリズム、脳を貫くサウンド。
そのすべてを優しく呑み込んで歌う煥先輩の声には、魔法みたいなチカラがある。
わたしの胸に、歌う想いがまっすぐ染み込んでくる。
煥先輩が、そっと目を開けた。