PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
曲が間奏に入る。
煥先輩がかすかな笑みを浮かべた。
薄い唇が柔らかな形をつくった瞬間、わたしはドキッとする。
ギターが華々しく踊り回る。
煥先輩は文徳先輩を見やった。
わたしも慌てて、煥先輩から目をそらす。
間奏は文徳先輩の晴れ舞台。
感情を吐き出すように、雄弁に語り明かす代わりに、理屈をかなぐり捨てるみたいに、文徳先輩の素顔をギターが主張する。
知らなかった。
文徳先輩の、こんなに奔放な姿。自由で猛々しい表情。
文徳先輩が煥先輩に目配せして、歌が再開する。