PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「総長の、嫁、って……」
二十時四十五分ごろ、ライヴはお開きになった。
片付けをしたら、ちょうど二十一時になる時刻だった。
約一時間半のライヴは、あっという間だった。
わたしは夢中になって聴いていた。
攻撃的でアップテンポな曲もあった。
切ないロックバラードもあった。
いろんな表情の唄《うた》があった。
でも、曲調が違っても、音色の根幹にあるカラーは揺らがなかった。
どの曲にも、これが瑪都流《バァトル》なんだと確かめられる力強い存在感があった。
曲の合間にMCを入れるのは文徳《ふみのり》先輩だった。
爽やかで軽快で楽しそうで、ときどき少し意地悪で、やんちゃな笑い方をすると子どもっぽかった。
演奏中の文徳先輩はひたすらカッコよくて、MCとのギャップに、くらくらした。