PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
向こうのベンチでは、寧々ちゃんと尾張兄弟が文徳先輩と話している。
暴走族としての瑪都流に入れてほしいっていう相談だ。
煥先輩もそばで話を聞いている。
牛富先輩と雄先輩はアレンジの話の真っ最中だ。
パソコンの画面を指差して、専門用語だらけの議論を交わしている。
わたしはみんなと一緒に帰るために待っているんだけれど、やることがない。
ぼんやりとしていたら、亜美先輩がわたしに気付いてくれた。
「待たせちゃってるね。疲れたでしょ?」
「あ、いえ、疲れてはいません。あっという間でした。演奏、素晴らしかったです!」
「ありがと。あたしたちも楽しんでやってるからさ、聴いてる人にも伝わったら嬉しい」
亜美先輩は涼しげに微笑んだ。
「わたしに何かできることありませんか?」
「それじゃ、一緒に来て。飲み物、買いに行こうと思ってたんだ」
「はい、ご一緒します!」
亜美先輩はベースを雄先輩たちに預けて、小さなリュックサックを背負った。
わたしもカバンを置いて、青獣珠のポーチに財布とケータイを入れて持っていく。