PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「時間がまた巻き戻った」
吐き捨てられた声に、怒りがにじんでいる。
煥先輩はいきなり、わたしの腕をつかんで文徳先輩から引き離した。
「い、痛いです!」
「おい、煥!」
煥先輩の握力はすごく強い。
振りほどこうにも、ビクとも動かない。
「安豊寺、どうして刺した?」
金色のまなざしが、射抜くように鋭く光っている。
「ど、どうしてって……」
正しくない未来を避けるために。
文徳先輩が亜美先輩と結婚しなければ、結婚式が血にまみれることもないから。
煥先輩がわたしに顔を寄せた。
キスしそうなほどの近さで、ギリギリまで絞られた声量で、素早くささやく。