PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
煥先輩がわたしを突き放して、背を向ける。
「白獣珠が時間の巻き戻しを嫌がってる。こんな時間の流れ方は正しくねぇんだ。あんたの行動は間違ってた」
断言された。
確かに、わたしも違和感を抱えている。
だけど。
「理由は? わたしが正しくなかったと、どうして言い切れるんですか?」
「直感」
それ以上の言葉を背中で拒絶して、煥先輩は赤いバイクのタイヤを破壊した。
文徳先輩がわたしのカバンを拾った。
「煥は何を怒ってるんだ? また時間が巻き戻ったのか?」
「はい。明日の夜から戻ってきました」
「何がきっかけで巻き戻しが起こるんだろう?」
「それは、わたし……」