PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


文徳先輩の質問に答えられなかった。



亜美先輩の存在が邪魔だった。だから刺した。


わたしがやったのは、そういうことだ。


煥先輩の怒りが、遅ればせながら、ガツンとわたしを殴った。



文徳先輩はさっきの煥先輩の言葉を聞かなかった。


煥先輩がわたしだけに告げたからだ。


怒りの衝動に任せてわたしを攻撃することだってできたのに。



「おい、煥、鈴蘭さんのカバンを持ってやれ」



煥先輩は面倒くさそうにうなずいた。


わたしのほうをチラッとも見ない。



路地を抜ける。


住宅地の丘を上る。


頭の中がぐちゃぐちゃしている。


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