PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
翌朝、煥先輩は門衛さんたちの前で名乗った。
「青龍の護衛を引き受けることになった。オレは白虎だ。白虎の伊呂波《いろは》だ」
門衛さんたちを納得させて、わたしのカバンを奪うように持って、煥先輩は歩き出す。
「来ないんじゃないかと思ってました」
「兄貴に『行け』と命令されたんだ」
「あの、文徳先輩はどこまで知ってるんですか?」
「オレが兄貴の結婚式の夢を見たこと。そこで何人も死んだこと。ただの夢じゃないかもしれないこと。白獣珠が形を変えたこと。
時間の巻き戻しが二回、起こったこと。結婚式を含めたら、三回かもしれないこと」