PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「刺すことが巻き戻しのきっかけですよね?」
「そうだろうな」
「でも、どうして急に四獣珠が目覚めたんでしょう?」
「知らねえ。オレは親から何も聞かなかった。伊呂波の屋敷も燃えちまった。白獣珠やほかの四獣珠について、調べようにも手段がねぇんだ」
文徳先輩と煥先輩は天涯孤独だって、亜美先輩から聞いた。
違う、今夜聞くんだ。
四獣珠の預かり手は、それぞれの家の一世代に一人きりだ。
その一人がチカラを授かる。
安豊寺家の先代の能力者はわたしの母だった。その前はおばあちゃん。
娘を産むと、その瞬間にチカラを娘に引き継ぐのが、ここ数代にわたって続いているらしい。
「うちも資料は残ってないんです。曾祖母のころに地震で家が壊れて」