PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


亜美先輩はほんの数秒で、男二人を叩きのめした。



「口ほどにもない」



わたしは笑顔をつくってみせた。


こぼれそうな涙をごまかして上を向く。


夜空に月がある。


十四日のほぼ丸い月。



ポーチの中で青獣珠は沈黙している。


刺せ、と騒いだりしない。



前のときは確かに聞こえたのに。


ほとんど忘れていた夢の中の声を、鮮やかに思い起こすことができたのに。



あれはなぜだったんだろう?



誰に訊くこともできない。


月に尋ねてみたい。


ねえ、あなたですか? 強すぎる願いをわたしに思い出させたのは、月の光?


< 166 / 555 >

この作品をシェア

pagetop