PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
文徳先輩がにこやかに命令した。
「決定だな。煥が鈴蘭さんの護衛をしろ。期間は、緋炎の襲撃の心配がなくなるまで。且つ、四獣珠の件が解決するまで。いいな?」
煥先輩がそっぽを向いた。
「オレに選択権はねえんだろ?」
「素直に『はい』と言えないのか?」
「…………」
「ついでに、もう一つ」
「何だよ?」
「鈴蘭さんのこと、苗字で呼ぶのはやめろ。おまえ自身、白虎の伊呂波を名乗るのはチカラに縛られるみたいで嫌いなんだろ?」
煥先輩が長々と息を吐いた。
「鈴蘭、でいいのか?」
いきなり呼ばれて、わたしの胸がドキッと跳ねた。
煥先輩の特別な声のせいで、自分の名前が特別なふうに聞こえてしまった。