PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
長江先輩がわたしに向き直った。
いつの間にか手を取られている。
「というわけで。あっきーのお手付きじゃないみたいだし、一回、おれとデートしない?」
「はい?」
「おれ、かわいい子、大好きだからさ~。ねえ、名前は?」
「えっ、あ、あの」
こういうノリの軽い人は苦手だ。
かわいい子? 何それ、意味がわからない。
名前、教えたくない。呼ばれたくない。
【なぁんてね。とっくに知ってるよ、きみの名前】
それは突然で、聞き間違いかと思った。
「は、はい……?」
【安豊寺鈴蘭ちゃん。襄陽学園高校、進学科の一年生。将来の目標はスクールカウンセラー】