PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
聞き間違いじゃない。
確かに聞こえた。
違う。
「聞く」ではないかもしれない。
その声の主は長江先輩で、長江先輩の声は、耳から入ってこなかった。
頭の中に直接、響く声だった。
「テ、テレパシー?」
握られたままの両手が汗ばんでくる。
【声の「波長」をいろいろ調整できんだよね。これ、内緒話モード。いちばん得意なのは、マインドコントロール系ね。
「号令《コマンド》」って名付けてるチカラだよ。ま、おしゃべり全般が守備範囲ってとこかな~】
長江先輩の両目に朱い光が宿っている。
笑顔なのが逆に怖い。