PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
もう一人、大人の男性がまた存在感がある。
父と同じくらいの年齢に見える。
上等そうなスーツ、整えられた髪。
渋いカッコよさが全身からあふれる紳士だ。
紳士が微笑んだ。
目尻にカラスの足跡形のしわができる。
口を開いたのは、大都高生だった。
「初めまして。ぼくは阿里海牙《あさと・かいが》。海牙でけっこうですよ。大都高校三年、趣味と特技は物理学です。
以後、お見知りおきを。明日の昼休み、襄陽にお邪魔せてもらいますね」
飄々《ひょうひょう》と微笑む表情がどこか不気味だ。
考えていることが読めない。