PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


長江先輩がニマニマ笑った。



「鈴蘭ちゃんって、人見知りするの? それとも、イケメンばっかで驚いた?」


「いえ、そういうわけじゃなくて……」



人見知りはしない。


三人ともカッコいいとは思うけれど、そういう問題じゃない。


警戒してしまう。


だって、能力者なんでしょう?



海牙さんが、波打つ髪を掻き上げた。



「いきなり信用しろとは言いませんよ。でもね、鈴蘭さんも煥くんも知りたいでしょう? 四獣珠が突然ツルギに形を変えた理由」



海牙さんがポケットから取り出したのは、黒々とした金属だった。


手のひらに馴染むサイズの短剣の柄だ。


柄頭に黒い宝珠が嵌《は》まっている。


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