PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「海ちゃんのは玄武の石、玄獣珠《げんじゅうしゅ》。おれのはこれね」
長江先輩はブレザーの内側に手を突っ込んだ。
内ポケットから朱い金属を取り出す。
柄頭にきらめくのが朱獣珠だ。
海牙さんがポケットに玄獣珠を戻した。
「さて、ぼくはそろそろ帰りますよ。進学校は課題が多くてね」
文徳先輩が少し遠慮がちに、話に入ってきた。
「阿里海牙くんって、全国模試の順位、一桁だよな? 名前、聞いたことある」
「ええ、そうですよ。でも、伊呂波文徳くんのほうが有名でしょう? 生徒会長にして、暴走族の総長で、バンドマスターでもある。
ライヴ、聴かせてもらいましたよ。いいリフレッシュになりました」