PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
海牙さんはヒラリと手を振って、名乗らなかった紳士と一緒に、駅へと歩いていく。
長江先輩がツルギをブレザーの内側に収めた。
空いた両手がわたしのほうへ伸びてくるから、わたしは思わず後ずさった。
「そんな逃げなくても」
「普通は逃げます」
「照れちゃって」
「照れてません」
煥先輩が黙って間に立ちはだかった。
長江先輩は、かすれた口笛を吹いた。
「ひゅ~、カッコいいじゃん。その眼光、銀髪の悪魔って呼ばれるだけあるね」
「黙れ」
「クールだねぇ。だからモテるんだな~。公園のとこにもファンがいたよ。すっごい美少女」
その子なら、わたしも見かけた。
長い黒髪のキレイな子だった。