PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「ぼくがやるから、痛くありませんよ」
ライヴの後、約束どおり家まで送ってもらった。
煥《あきら》先輩だけじゃなくて、文徳《ふみのり》先輩も一緒に来てくれた。
帰り道で、煥先輩は一言もしゃべらなかった。
翌朝。
迎えに来てくれた煥先輩はやっぱり黙り込んでいた。
煥先輩はもともと口数が少ない人だ。
でも、あまりにも沈黙が長い。
わたしを許す気はないんだと思う。
文徳先輩に言われるから護衛をしてくれるけれど、本当は近寄りたくもない相手のはず。
「つらいなぁ」
始業前の教室で、わたしは思わずこぼしてしまった。
三日月のアミュレットを付けたポーチを抱きしめる。